ありのスポーツどうなん第74回「スポーツ(運動)することのリスク」
北九州市障害者スポーツセンター
所長 有延 忠剛
「お医者さんに運動するように言われてきました!」というのはよくある話。
ところが、そう意気揚々と来られた方が、結果的に館内で倒れ、救急搬送される。
明るい未来のイメージが、一気に暗転。
残念ながら、当センターで実際に起きた話であり、果たして一体何のための運動なのかがわからなくなってくる。
センターがこのような方一人ひとりに対し、本人の障害の状況や、健康状態をある程度事前に把握したうえで、運動処方を行い、マンツーマンで丁寧に対応することができるなら、こういったケースはかなり減らすことができるだろう。
だが、そこには限界がある。
まず、「運動したほうが良い」と言った言い出しっぺの医療機関にいくら頼んでも、本人の情報は「個人情報」ということで提供してもらうことはできない。
つまり本人から情報をもらうしかない。ところが本人には障害があるため、その辺りのコミュニケーションがうまくいかない場合がある。
つまり、どんなリスクを抱えているかもわからず、「運動したほうがよい」ことだけが独り歩きしてしまい、場合によっては、健康の維持や快復に繋がるどころか、本人を非常に危険な状態にさらしてしまうこともあり得るのだ。
もしも皆さん、病院の先生から、「少し運動したほうがいいですね」って言われたときは、要注意!「どんな運動を、どのくらいの負荷で、どのくらいの回数やった方がいいですか?」とぜひ、聞き返してみていただきたい。
医師が処方する薬にも、成分、用量、用法、効能の説明と副作用までの説明があるように、実は運動も「副作用のない万能薬」ではないのである。