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 北九州市障害福祉情報センター > ひこうせん未来 > 84号 > 

障害者とタクシー制度 ~タクシー制度の現状と課題~

情報誌「ひこうせん未来」

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障害者とタクシー制度 ~タクシー制度の現状と課題~

 移動する手段として、気軽に使うことのできる「タクシー」。
 なかでも福祉タクシーや介護タクシーといった、障害者や高齢者に配慮されたタクシーはとても便利な移動手段です。

 利用はしてみたいけど、サービスの内容や利用料金が、いまいち分からない・・・という方もいらっしゃると思います。 

 そこで、福祉タクシー、介護タクシーの制度についてご紹介させて頂きます。


【介護タクシーとは?】
 介護タクシーは、「通院等乗降介助」と言い、ヘルパーが運転する自動車で通院等をサポートする訪問介護サービスの一種です。

 送迎だけではなく、家の中まで迎えに来てくれ、車を降りた後も、病院の窓口まで送り届けてくれるなど、介護とタクシーが一体になったサービスで介護保険が利用できます。

 運賃や介護料は、事業者によって違うので確認が必要です。

 なお、介護保険で介護タクシーを利用するには、いくつかの条件をクリアしなくてはなりません。

 

 条件は次の4点です。
  ①介護保険を利用できるタクシー業者であること

    全ての介護タクシー業者が介護保険適用可能な業者というわけではありません。

    介護保険を利用できる業者は介護保険指定業者番号を取得している業者に限ります。
  

  ②「要介護」認定を受けていること
    介護認定には「要支援」と「要介護」の2種類があります。

    介護タクシーの場合「要支援」は保険の適用外となり、全額自己負担になってしまうので注意が必要です。
 

  ③利用目的が適切であること
    介護保険が適用となる利用目的は、「通院(受診・リハビリ等)」「公的機関での手続き」「選挙の投票」などです。

    散髪や観光といった目的には、たとえ要介護認定を受けていても、介護保険対応では利用できません。

 

  ④担当のケアマネージャーが介護タクシーの利用をケアプランに組み込んでいること
    これまでの条件をクリアしていても、ケアプランになければ介護保険を利用することは出来ません。
 

 以上が介護保険で介護タクシーを利用できる条件です。
 介護タクシーは、これらの条件を満たしていなくても利用することが出来ます。

 この場合は、障害者の割引サービスを利用出来ます。ただし、付添い以外は同乗することが出来ません。

 また、利用時間は、おおむね18時までで、それ以降の時間帯に対応するドライバーは少ないようです。

 

【福祉タクシーとは?】
 福祉タクシーは、障害のある人が乗りやすいように改造した車輌の事で、介護タクシーを含む総称として使われることが 多い呼び名です。ここではNPO法人日本福祉タクシー協会が実施している福祉タクシーをご紹介します。

 このタクシーは、介護タクシーで対応できない制度の狭間を埋めるNPO活動で、北九州市内では4名が事業展開をしています。

 今回は、「福祉タクシー ひさじま」代表の久島 隆さんにお話をうかがいました。

 久島さんたちの福祉タクシーは、介護保険の適用外となっています。保険適用外と聞くと落胆される方もいるかもしれませんが、保険適用外になったことで、介護タクシーのような厳しい利用制限がなくなり、買い物や飲み会などのプライベートな外出にも利用できますし、家族や友達と一緒に利用することもできます。
 また、予約の空き状況次第では、夜でも送迎可能だそうで、より気軽に外出ができるタクシー制度です。

 しかも、ドライバーは介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の資格を持っていますので、介護タクシーと同じように介護を伴う送迎をしてもらえます。
 料金は一般タクシーと同じですが、障害者の割引制度は利用できます。

 そんな便利な福祉タクシーですが、一人でも多くの人の依頼に応えたいと思っていてもドライバーが4人なので(実質、調整しあっているのは3人)、意欲のあるドライバー同士で協力しながらなんとか運営している状況だそうです。
 新たな意欲のあるドライバーが加わり、福祉タクシー業界がもっと活気づくことが望まれています。


福祉タクシー ひさじま

  北九州市門司区上馬寄
  連絡先 携帯 080-5255-4799
      FAX 093-381-4799
  初乗り 1.6㎞まで790円(6人乗り)(身体障害者手帳の割引可能)

【UDタクシーとは?】

 介護タクシー、福祉タクシーについてご紹介しましたが、もう一つ便利なタクシーがあることをご存知でしょうか?

 それは、ユニバーサルデザイン(UD)タクシーです。

 UDタクシーは、健常者はもちろん高齢者、障害者、妊婦などすべての人が使いやすいように、工夫されているタクシーのことです。
 来たる2020年のパラリンピックに向けて、国は「ユニバーサルデザイン2020行動計画」の中で、このUDタクシーの導入を推進しています。
 UDタクシーには、日産の「NV200タクシー」とトヨタの「JPNタクシー」があります。
 北九州市内では、平成30年12月現在15件のタクシー事業者が、31台のUDタクシーを運行しています。

 内訳としては、「NV200タクシー」が17台、「JPNタクシー」が14台です。

 「NV200タクシー」は介護タクシーと同様に車体の後ろから車いすが乗り込むようになっている従来型です。

  車いすの場合、歩道からいったん車道に降りてから乗り込むため、車道の段差が大きい場所での乗降に課題があります。
 「JPNタクシー」は、普段よく見かける黒いセダン型のタクシー、トヨタ「コンフォート」の後継車として22年ぶりに開発され、2017年10月に発売が開始されたものです。

 「JPNタクシー」の一番の特徴は、車いすの乗降口が、「車体の後ろ」ではなく、「車体の横」にあることです。

 スロープを設置する関係で、道幅に十分なスペースが必要になるという課題はありますが、歩道からそのまま車いすで乗り込めるというメリットがあります。

 その他にも、最近流行りの自動ブレーキシステムや、スマホの充電ができるUSB端子・寒い日に活躍するシートヒーターなど、最新の技術を搭載し、満を持しての発売となりました。

 しかし、車いすユーザーが乗り込む際に必要となる行程が複雑で、時間がかかってしまうことから、ドライバーや利用者から多くの不満の声が上がってしまいました。

 また、時間がかかるからという事を理由に、車いすユーザーが乗車拒否にあってしまった事例もありました。
 

 今回、「JPNタクシー」の実際の使い心地を調査するため、八幡西区にある三ヶ森タクシーさんにご協力頂き、実際のJPNタクシーを見せて頂きました。

 

 JPNタクシーは、従来のセダン型タクシーと比べ、25㎝ほど背が高い175㎝の車高があります。

 そのため、天井が高く、乗り降りも楽にできるつくりになっています。タクシーで、もっとも乗り降り頻度の高い後席左側のドアはスライドドアになっています。車いすユーザーは、このスライドドアから車いすに乗ったまま乗り降りができます。

 車いすユーザーが車内に乗りこむためには、「助手席と後部座席を畳む」、「ドアにスロープを設置する」、「車いすを床に固定する」など、多くの工程があり、作業に慣れていないドライバーだと乗り降りするのに10分ほどかかってしまうそうです。

 この複雑な手順に、全国から不満の声が多数上がったため、開発したトヨタは、作業を簡単・迅速にできるよう改善を進めています。

 改善内容としては、複雑な組み立てが必要だったスロープを簡単に組み立てられるように変更したり、作業工程が分かるようにラベルを貼り付けたりと、細かな改良を施し、既に購入されている1万台の車両にも、随時無償でアップデートを行っています。

 また、2019年3月以降に販売する最新モデルについては、折り畳み式だったスロープを樹脂製の一体型のものへ変更するなど、更なる改善が施され、当初68あった行程が38行程まで減らされ、作業時間も4分程度で完了できるようになるそうです。

 三ヶ森タクシーにある車両は、初期型で改良部品もまだ届いていない状況だったのですが、実際に車いすの乗り込みを見せてもらうと、6〜7分程で完了しており、思っていたよりも早く乗り降りができる感覚でした。

 UDのドライバーは、ユニバーサルドライバー研修というものを受講するよう推奨されています。

 ユニバーサルドライバー研修とは、車いすの取り扱いや乗り降りの介助、利用者とのコミュニケーションなど、ドライバーの接遇向上のために行われている教育研修です。
 UDタクシーを導入する際に国の補助金を活用する場合には、1台につき3人はこの研修を受けなければならないそうです。
 三ヶ森タクシーでは、取材時点で1台のみJPNタクシーが運行されていましたが、近々2台目を導入されるとのことでした。

 JPNタクシーが導入される前は「NV200タクシー」を使用していたそうですが、商用がベースの車であるため、シートが薄い等、車いすユーザー以外の評判があまり良くなかったそうです。

 そんなこともあり、今後もJPNタクシーを導入していく予定とのことでした。
 三ヶ森タクシーの運行しているJPNタクシーは、1日30件ほどの運行があるそうですが、その中で車いす利用者は、決まった方が2日に1回くらいのペースで利用しているのみだそうです。
 台数が少ない事もあって、三ヶ森タクシーでは、事前に利用の申し込みをすることになっていますが、東京などでは、一般のタクシーと半数の割合でUDタクシーが街中を走っており、予約無しでも乗車が可能になっているそうです。

 

 最後に、貞包さんは「UDタクシーを運行する際には、国から補助金を受けられますが、国の補助金だけではなかなか

難しい事業所もあると聞いています。福岡市のように別途、市としての補助があると、もっと取り組む事業所も増えると思います。

 障害のあるなしに関わらず、誰でも利用できるUDタクシーが増えていってほしいですね」とおっしゃっていました。

 

 有限会社 三ヶ森タクシー
  北九州市八幡西区永犬丸南町
   タクシー配車のご予約は TEL 093-601-0077 まで
   初乗り/670円(身体障害者手帳の割引可能)

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