ありのスポーツどうなん第72回 「スポーツのその先にあるもの」
北九州市障害者スポーツセンター
所長 有延 忠剛
今から48年前(昭和51年)、北九州市障害者スポーツセンターは誕生した。以来当センターは、北九州市内唯一の障害者スポーツの中核施設として、多くの障害のある人に利用されるこ
ととなった。
平成に入り、「ノーマライゼーション」の理念が拡がる中で、「障害があっても地域で当たり前に暮らす」ことが重要であるという考え方とともに、スポーツにおいても「身近な地域で楽しむ」ことが求められるようになった。その結果、障害者スポーツセンターの指導員が各地域を巡回し、スポーツ教室を開催するという「地域巡回スポーツ教室」が開催されるようになり、障害のある人が「地域で当たり前に暮らす」上での一つのスポーツの機会として確立された。
しかし今、「地域」の考え方では立ち行かない状況が起き始めている。
先日、当センターを定期的に用している、あるスポーツクラブの代表の方が、「会員数が減少して、クラブが存続の危機に陥っている」と嘆いていた。
要因は一つではないだろうが、北九州市在住の方を中心に構成しているこのクラブにおいて、少子化等に伴う人口の減少も少なからず影響しているものと思われる。まさに近未来の日本は、人口減少の一途をたどると言われており、逆から言えば、人数を維持しようとするのであれば、エリアを拡げる、つまり「広域化」が求められることになりはしないか。
もう一つ。私は今、福岡県豊前市に住んでいる。福岡県内に2カ所(北九州市と福岡市)しかない当センターを、北九州市だけでなく、福岡県の東部(せめて遠賀郡、中間市、京都郡、行橋市、築上郡、豊前市)エリアの関係機関・組織との連携によって拡がる可能性もきっとあるはずだ。