ありのスポーツどうなん?
北九州市障害者スポーツセンター アレアス
所長 有延 忠剛
第67回 「SDGsと東京2020後のスポーツ」
国連で2015年に採択された「SDGs」。将来の世代のため、環境や資源を大切にしながら、今の生活をより良い状態にするための17の目標のことである。
その目標達成に、「スポーツの力」が大きく貢献するといわれている。
「スポーツの力」「可能性」については、これまでも度々触れてきた。東京オリンピック・パラリンピックは追い風となり、国内各地に数々の遺産を残してくれたことだろう。
だが最近、所内の回覧物。ある文書がふと目に留まった。
「釧路湿原全国車いすマラソン大会」の案内だ。「今年もその季節か・・・」と思った瞬間、目に飛び込んだのは「終了」の文字。何と大会終了のお知らせだったのだ。
文書によると、「昭和61年に第1回を開催」とある。何と30年以上もの長きにわたり開催された歴史ある大会であった。関係者としては、さぞ無念だったことだろう。北九州で車いすバスケの国際大会の開催に携わってきた私は、とても大きな衝撃を受けた。
これには新型コロナウィルスの感染拡大が大きな要因となっているのは言うまでもない。そして次の大きな不安が脳裏をよぎるのだ。
スポーツ振興に世紀の「追い風」となるはずだった東京2020が、終わりの見えない新型コロナの感染拡大と重なり、大きな「津波」となる。その波はこれまで築き上げてきた多くの財産を飲み込み、「引き潮」となって過ぎ去っていく。
釧路の全国車いすマラソン大会は決して対岸の火事ではない。
「継続は力なり。」
時代に即した新たな価値を見出しながら、SDGsのまさに「サステナブル(持続可能)」なスポーツ振興のありようを今こそ見つめなおさなければならない。