障害者差別解消法ってどうやってできたの?
【障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律】
パート1
北九州市障害福祉ボランティア協会
常務理事 竹田 英樹
合理的配慮の提供を民間事業主に義務付ける改正障害者差別解消法が令和3年5月、参議院本会議で可決、成立しました。これまで、合理的配慮の義務付けは国や自治体のみで、民間事業者には努力義務となっていましたが、今回の改正によって、今後は義務として、配慮の提供が求められることとなります。
【障害者差別解消法はどうやってできたの?】
●障害者権利条約からの始まり
1948年に国連は、すべての人の人権を尊重し確保するために、世界の国と人とが達成すべき共通の基準として「世界人権宣言」を採択しました。
1975年には、「障害者の権利に関する宣言」を採択し、障害のある人の権利を保護するために、各国が行動を起こすよう要請しました。
1981年(昭和56年)には、「国際障害者年」を定め、1983年からの10年間を「国連障害者の十年」と定めて、障害のある人の福祉や自立支援の政策などを計画的に充実していくよう各国に働きかけました。
この「国際障害者年」をきっかけに、北九州市でも大きく障害のある人の社会参加が進むことになります。
「国連障害者の十年」を定めて以降、障害のある人への差別撤廃を目指して国際的原則となる条約を定めようとする動きがあり、1987年イタリアは障害者差別撤廃条約を提案、1989年スウェーデンも障害者差別撤廃条約の提案がありましたが、各国の支持がそれぞれの事情で得られませんでした。
その後、下記の法律ができた動きによって、再び、条約を定める機運が高まり、2001年に国際条約の制定のための動きが始まり、2006年(平成18年)に、障害のある人の権利と尊厳を保護・促進するための初めての国際条約である「障害者権利条約」が採択されました。
・1985年:カナダ人権法
・1990年:アメリカ障害者法[障害者の公民権法とも呼ばれている]
・1992年:オーストラリア障害者差別禁止法
・1995年:イギリス障害者差別禁止法
・1998年:ハンガリー障害者の権利と機会の均等に関する法律
・1999年:スウェーデン雇用における障害者差別禁止法
・2002年:ドイツ障害者の平等のための法律
●日本の動き
2007年9月、日本は、国連本部で外務大臣が条約に署名しました。翌年5月に、世界20カ国が批准書を寄託し、条約が発効されましたが、日本も条約の批准に向け、具体的な取組みを開始しました。国内法の整備のため、内閣に「障害者制度改革推進本部」を設置し、批准の前提条件である障害者差別解消法の制定や、障害者基本法などの改正を行いました。