北九州市障害福祉団体連絡協議会 令和3年度研修
「地域生活支援拠点等の整備」
事務局次長 竹田 英樹
北九州市障害福祉団体連絡協議会(障団連)は、コロナ禍で開けなかった令和3年度第一回研修会を、北九州市保健福祉局障害者支援課 地域移行・相談支援係長 秦勝彦氏をお招きして、令和2年度から取り組まれている「地域生活支援拠点等について~北九州市の現状報告と意見交換~」というテーマで11月22日に開催しました。
当日参加状況は、会場10団体、オンライン20団体の合計30団体と多くの団体にご参加いただく関心の高いテーマでした。
最初に秦係長から、令和2年度から4年度までの北九州市の取り組みについてお話いただきました。
〇地域生活支援拠点等の機能の一つを担う「緊急時の一時受け入れ施設」について、R2年度に3施設(コロナ対策含む)を確保(委託契約により各1床/通年)。
〇R4年度より拠点機能を担う事業所として、既存の短期入所事業所、相談支援事業所等のうち1ユニット(単位)を市が認定し運用するもの(障害福祉サービス費)。
次に国が求める機能と北九州市の取り組みからお話をしていただきました。
【1. 国が求める機能と本市の取り組み】
(1) 国が求める機能と具体的な内容
①相談
緊急時の支援が見込めない世帯を事前に把握した上で、常時の連絡体制を確保し、障害の特性に起因して生じた緊急の事態等に必要なサービスのコーディネートや相談その他必要な支援を行う機能
②緊急時の受け入れ対応
短期入所を活用した常時の緊急受入体制等を確保した上で、介護者の急病や障害者の状態変化等の緊急時の受け入れや医療機関への連絡等の必要な対応を行う機能
③体験の機会・場
病院、施設からの地域移行や親元からの自立等に当たって、グループホーム等の障害福祉サービスの利用や一人暮らしの体験の機会・場を提供する機能
④専門的人材の確保・養成
医療的ケアが必要な方や行動障害を有する方、高齢化に伴い重度化した障害のある方に対して、専門的な対応を行うことができる体制の確保や、専門的な対応ができる人材の育成を行う機能
⑤地域の体制づくり
地域の様々なニーズに対応できるサービス提供体制の確保や、地域の社会資源の連携体制の構築等を行う機能
(2) 北九州市のこれまでの取組
①相談
緊急時の支援については、障害者基幹相談支援センターを中心に、相談支援事業とも連携を図りながら相談対応を実施
②緊急時の受け入れ対応
R2年度に緊急時の一時受け入れ施設3施設(各一床:委託契約)を通年で確保
③体験の機会・場
既存のサービス事業所で宿泊体験等を実施
④専門的人材の確保・養成
各機関において専門的・個別的な研修を実施
⑤地域の体制づくり
R2年度にコーディネーターを1名配置し、各事業所等との連携を強化
*受け入れ施設3箇所は、新型コロナウィルス感染症対策として、介護者の感染等に伴い、障害者が施設や自宅で介護等を受けることができない場合にも対応
【2.平成30年度及び令和3年度の報酬改定】
拠点等として位置付けた短期入所事業所等について、その役割を評価する加算の創設
〇緊急時の相談機能の強化(相談支援事業所)
↓ +700単位/回
※短期入所事業所への受け入れ実績(回数)に応じて、月4回を限度
〇緊急時の受入機能の強化(短期入所事業所)
↓ +100単位/日(サービス利用の初日のみ)
※緊急時の受入対応をした場合に限らない
〇緊急時の対応機能の強化(訪問系サービス等(居宅介護、自立生活援助、地域定着支援
等))
↓ +50単位/回・日 ※緊急時の対応をした場合に限る
【3.拠点等の認定】
加算を取得するためには、拠点等の機能を担う事業所は、運営規程に規定し、当該事業所であることを市町村に届け出た上で、市町村が拠点として認定することが必要。
↓ 統一的な認定基準は示されておらず、どのように認定するかは市町村の判断。
【4.北九州市の方向性】
拠点等を担う事業所として本市が求める基準を示すことにより、
・質の高い安定的なサービスの提供が確保できること
・安易な登録を回避することができ、財政負担の軽減につながることなどが考えられるため、認定基準を策定する。
【5.スケジュール(案)】
令和3年度
6月:基幹相談センターと基準項目の整理
(具体的事例(困難ケース等)をもとに、緊急時の受入れにあたり事業者側に求められる能力や支援体制、運営体制について協議)
10月:自立支援協議会「ネットワーク部会」で経過報告
2月: 自立支援協議会「ネットワーク部会」及び総会で認定基準と運営体制の承認
令和4年度
4~5月:市内事業所に周知
7~9月:自立支援協議会で選考・認定
10月頃:事業所指定・運用開始
地域生活支援拠点等について、令和5年度末まで1箇所以上を維持しつつ、その運用状況を検証、検討する会議を年1回以上開催。
●参加者の意見
・どういう場合に利用できるのか判断が難しいので、こういう場合が、緊急ですよという情報を提供してほしい。
・緊急時の利用に限定するのではなく、親なき後、明日何かあったらどうしようと心配している人もいる。緊急時の利用だけではなく、いざという時のための体験の機会を作る
ようにしてほしい
・生活の安定の組み立て、立て直しのきっかけにすることも大事。
訂正とお詫び
前回91号の2ページ目、障団連コロナアンケート集計結果の最後の一段落が、編集ミスのため間違った文章で掲載されていました。寄稿いただいたあかつき会家族会福山様、誠に申し訳ございませんでした。
正しい文章は以下の通りとなります。
↓
新型コロナウイルス感染の収束が見えない中、会員団体のみならず他の障害に関わる団体や一般の方にも、会員団体の協力で得た貴重な情報を更にまとめ、分析して何らかの形で提供できるようにしたいと考えています。