「北九州市と車いすバスケットボール」
北九州市障害者スポーツセンターアレアス
所長 有延 忠剛
ご存じの方も多いだろうが、北九州市では、毎年、車いすバスケットボールの国際大会が開かれている。車いすバスケットボール(以後「車いすバスケ」)といえば、パラリンピックの種目であり、障害者スポーツ(パラスポーツ)の花形と言われるスポーツ。
また、車いす同士が激しくぶつかり合ったり、車いすごと激しく転倒(回転)したり、そのプレーの激しさから、「車いすの格闘技」とも呼ばれるスポーツである。
今回は、なぜ北九州市で車いすバスケの国際大会が開催されるようになったのか。その歴史と歩みについてご紹介する。
初めて日本で開催された『東京オリンピック・パラリンピック』が昭和39年であり、日本の障害者スポーツの黎明期である。
北九州市に車いすバスケットボールクラブ「足立クラブ」誕生
これに乗じて、九州でも大会が開催されるようになり、大会を支えるボランティアの活動も徐々に盛り上がりを見せ始める。
平成2年には、「第26回全国身体障害者スポーツ大会」が福岡県で開催。北九州市立総合体育館が車いすバスケの大会会場となった。この大会運営に携わった関係者の一部が中心となり、翌年から有志で「西日本選抜車いすバスケットボール選手権大会」を開催するようになった。
大会は有志の力で継続開催された
平成7年に「全国選抜大会」、平成10年には「東アジア大会」と、徐々に規模も大きくなっていった。
関係者の努力の賜物と言えるだろう、平成14年には、4年に一度開催される車いすバスケの世界選手権大会「北九州ゴールドカップ」が北九州市で開催された。大会は、「市民による手作りの大会」、「バリアフリーのまちづくり」をコンセプトに開催され、大会10日間で8万人を超える観客を集めた。試合によっては席が足りず、通路に多くの立ち見が出るほど。市民の力を結集した世界大会は大成功を収めた。
その翌年からは、北九州ゴールドカップの成果を継承し、北九州市が「バリアのないまちづくり」を象徴する大会として、「北九州チャンピオンズカップ国際車いすバスケットボール大会(以後「チャンピオンズカップ」)を開催するようになる。
チャンピオンズカップは、当初ゴールドカップの開催を記念して、3年間のみ開催の予定であったが、開催継続を強く望む関係者や市民の声もあり、4年目以降も継続開催されるようになった。
なお、第4回大会から第10回大会までは、「クラブチーム世界一決定戦」として開催。日本チームで言えば、「千葉ホークス」や「宮城MAX」といった総理大臣杯日本車いすバスケットボール選手権大会(現在は「天皇杯」として開催)で優勝したチームが、世界の強豪クラブチームを迎え撃つという方式の大会であった。今思えば、非常にハイレベルで大変興味深い大会であった。
その後、北九州市制50周年記念大会を挟み、第11回大会からは、第3回までと同様、国別対抗の方式をとり、現在に至るところである。
こうした中で特筆すべきは、記憶に新しいであろう2021年に開催された東京パラリンピックで、日本男子チームが見事銀メダルに輝いたことである。そして、銀メダルに輝いた選手全員が、チャンピオンズカップの出場経験を持つという、北九州ゴールドカップそしてチャンピオンズカップを支えてきた多くの北九州市民にとっては、まさにこの上ない喜びであった。
最後に、チャンピオンズカップの開催において、全日本ブロック選抜車いすバスケットボール選手権大会、そして小学生車いすバスケットボール大会を同時開催していることにも触れておきたい。
殊に、小学生大会は、国内そして世界においても類を見ない壮大な取り組みである。
現在では小学生大会用に競技用車いす50台を有し、大会参加を希望した市内小学校に約半年間、車いすを貸し出し、事務局指導員が各校を訪問指導し、授業の中で練習を積む。そしてチャンピオンズカップ前日に予選を行い、翌日の開会式直後に決勝戦を行っている。今大会で第18回目を数える小学生大会は、多くの関係者から非常に高い評価を受けている。
そして、第20回を数えるチャンピオンズカップは、もう、目前に迫っている。今年はどんな戦いが繰り広げられるのか、乞うご期待!!
第20回北九州チャンピオンズカップ
国際車いすバスケットボール大会
期間 令和5年11月10日(金)~12日(日)
会場 北九州市立総合体育館 ( 八幡東区八王寺町4-1 )