ありのスポーツどうなん
第71回 「eスポーツ」を考える
北九州市障害者スポーツセンター
アレアス 所長 有延 忠剛
「eスポーツ」をご存じだろうか。「electronic sports」の略で、いわゆるコンピューターゲ―ムをスポーツ競技として捉える際の名称である。「IeSF」という国際組織も存在し、2008年の設立からすでに15年が経過。現在123にのぼる国・地域が加盟する組織に成長しているそうだ。さらに近年、IOC(国際オリンピック委員会)や、すでに終了したが、 東京2020組織委員会とも関りを持つなど、一般のスポーツ組織との関りも深まっている。
しかし、である。そうであっても、私個人としては正直、eスポーツと一般のスポーツが同じ土俵に上がること何か違和感を感じるとともに、それは決して私一人ではないように思うのである。と、一昨日までは思っていた。
実は北九州市身体障害者福祉協会の会議に出席した際、eスポーツの競技団体と連携して肢体不自由の方がeスポーツを体験する事業を実施したとの報告があった。恥ずかしながら障害のある人にとってのeスポーツをこれまであまり考えて来なかった私は正直ハ ッとさせられた。
特にスポーツとは縁遠かった人やスポーツをあきらめた人たちにとって、 バーチャルな空間ではスポーツ自体に興味を持つ、インターネット上ではあるが、社会参加や仲間づくりにつながる、一部ではあるが、身体活動も伴う、イベント参加となれば外出の機会をつくるなど、一般のスポーツと同様な意義、価値に繋がる要素が多数存在するのである。
パラスポーツの世界で有名な言葉「障害のない人はスポーツをしたほうが良いが、障害のある人はスポーツをしなければならない。」この具現化のためにもeスポーツは今後ますますパラスポーツにおいて存在感を示すことになるだろう。