ありの「スポーツどうなん?」
北九州市障害者スポーツセンター
アレアス 所 長 有延 忠剛
第63回 「2つの小学生大会がもたらすもの」
前々回で小学生車いすバスケットボール大会について触れた。もう一つの小学生大会、それは小学生ふうせんバレーボール大会である。
北九州市で誕生し、昨年30周年を迎えたふうせんバレーボール。
障がいの有無や様々な違いのある選手同士がいかに理解し合い、支え合うかをテーマとしたスポーツ。
小学生車いすバスケットボール大会は5年生限定の取り組みだが、小学生ふうせんバレーボール大会は、6人のメンバー構成にバリエーションを持たせるため、1年生から6年生ま
でが1つのチームを構成し、互いにカバーし合い、協力し合ってプレーする。
それはそれは素晴らしいことなのであるが、プレーする子どもたちにとってはそんな綺麗ご
とではなく、混乱の中からのスタートとなるのである。
上級生は下級生のプレーのもどかしさに苛立ち、練習試合であっても負ければ歯痒さを覚える。
下級生は上級生のようなプレーができず、時に文句を言われ、時にわけのわからない理不尽さを抱えながらプレーすることになる。
だが、実はその状態こそがこの取り組みのスタート地点なのである。自分の思い通りにならないことが多々ありながらも、チームとしての前進、勝利を目指す。
チームは、一つの小さな社会である。子どもたちは一喜一憂しながらも、一定の練習期間、そして大会までのプログラムを終えた時点で様々な感動を得ることになる。
小学生車いすバスケが「壮大で徹底的な障がい理解プログラム」であるのに対し、小学生ふうせんバレーは「壮大で徹底的な多様性理解プログラム」なのである。