ありの「すぽーつどうなん?」
第62回「スポーツとCOVIT-19を考える」
北九州市障害者スポーツセンター アレアス
所長 有延 忠剛
前回のテーマが「2つの小学生大会」。今回その続きを書く予定だったが、現在のコロナ禍におけるスポーツを取り巻く様々な情勢の中で感じたことを書かせていただくことにする。
ご承知のとおり今回のウィルスが、スポーツ界に与えたダメージ、いや、人類の営みの中から奪い去ったものは計り知れない。スポーツに深く関わる身としては、今の状況に大変な息苦しさを感じるところであるが、このことだけは言っておきたいし、同時に自分にも言い聞かせたい。
それは、大会の主催者、特に学生のスポーツ大会の主催者が、やむを得ず大会中止の判断を選択する場合、せめて学生の無念な心情に寄り添った態度や言葉を選んで欲しいと強く思うのである。飄々とした態度や淡々とした口調で「断腸の思い」という言葉を発するインタビュー映像をテレビで見るにつけ、私は「簡単に言うな~!」と心の中で叫んできた。
殊に、長年野球に携わってきた私にとって、やはり春夏2大会の甲子園、そして夏の予選が中止となったことは、「ありえない」を超え、「許せない」レベルの出来事であった(あくまで感情の話)。
野球に限らず、青少年が目標に向かって努力を積み重ねてきた中で、その本番目前でチャレンジの舞台ごと奪われてしまうのである。高校3年生にとっては、最後の舞台。チームスポーツでは、最初で最後の舞台の選手も少なくなかっただろう。選手の無念さはまさに筆舌に尽くし難いところである。
かくいうアレアスも、臨時休館となり様々な事業が中止になった。最初で最後の舞台を奪われた利用者はいないと信じたいが、舞台を提供する立場として、利用者の心情に寄り添った対応を心掛けたいものである。