出前講師の研修会に参加して
特定非営利活動法人 北九州市難聴者・中途失聴者協会
理事長 神矢 徹石
- 研修会の様子
- 意見が書かれたたくさんの付箋
9月25日の夜、ウェルとばた研修室6ABにおいて障団連の出前講師の研修会が開催されました。講師は熊本学園大学の堀正嗣先生で、障害学会の元会長でもあります。テーマは「障害学を学ぶ」で、前半は堀先生の講義、後半はグループワークが行われました。16団体から39名の参加がありました。
まず障団連の方から出前講座事業の説明が行われ、ここで体験談やグループワークなど、どのようなカリキュラムに沿って講座が行われるのかの説明がありました。この後に堀先生の講義が始まりました。
まず障害学会の説明が行われ、次に障害学は何を目指しているのかが説明されました。堀先生は障害の見方として個人モデル(医学モデル)と社会モデルの2通りがあり、障害学は社会モデルを徹底することを目指していることを説明しました。個人モデルとは個々の障害に問題があり、障害があることが何かその人の問題、その人の責任であるかのような考え方であり、社会モデルとは社会の方に問題があり、社会の状態を良くしていかなければ障害者の状態は改善されないという考え方です。
それから、障害者を取り巻く物理的・制度的・コミュニケーション・心理的・内面のバリアについての説明があり、これらのバリアをなくすことで共に生きる社会・安心して人に頼れる社会が生まれることが述べられました。
研修が始まって1時間経ったところでグループワークの説明が始まりました。すでに参加者は6つのテーブルに分かれ、当事者のテーブルが4つと、家族・支援者のテーブルがそれぞれ1つずつありました。各テーブルにはコピー用紙をくっつけた大きな紙と大きな付箋が用意されていました。
グループごとに進行する人と記録をとる人と発表する人を1人ずつ選び、参加者の意見が付箋に書き留められていきました。話し合いの内容は当事者のグループか家族・支援者のグループかによって異なり、当事者のグループなら出前講座で困ったことや難しかったこと(出前講座に行ったことのない人なら、障害について説明するときに困ったことや難しかったこと)、家族・支援者のグループなら障害者の声を聴いて支援することの難しさを出し合いました。
意見を付箋に書いていきそれを内容ごとに分け、どんな関係になっているか、なぜそうなったかをまとめ、解決策を考えていきました。研修が始まって2時間経ったところで、各グループからの発表が1グループ3分程度で行われました。
最後に堀先生からのまとめとして、当事者の話を聞くことが大事で、当事者の思いや考えを知らないと障害とは何かということは分からない、社会を変えるためにはいろいろな分野での活動が必要で、さまざまな分野で声を上げて伝えていくことで社会は変わっていくということが述べられました。参加者にとって大きな気づきのあった研修だったのではないかと思います。